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ドゥテルテ大統領の暴言の裏に見た「新しいフィリピン」 〜フィリピンの現状と確かな未来〜 その①

【始めに】

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2016年、11月の後半から12月の後半の約1ヶ月間、「ジャーニリスト」という私が始めた事業の仕事の依頼で、新政権発足後の現在のフィリピンの調査へ向かいました。「ジャーニリスト」とは、世界中に散らばる無数の「旅人」を媒体にして、滞在先、世界中のあらゆる「今」の情報をリアルタイムで集めて、その中からビジネスを始めとした、あらゆる分野でのチャンスやニーズを見つけ、そのニーズやチャンスを活かすことができる国内外の企業、組織や個人に対して情報を提供をするサービスです。

 

さて、今回は「ジャーニリスト」で得たフィリピンの情報の中で、依頼遂行中に得たビジネスに関する情報、政治的な物事や現状に対して、主観と客観を交えた意見とを記事にしていきたいと思います。観光や娯楽に関する記事に関しては、別記事にて更新を検討しております。

 

当記事は①。国内の情勢を中心にまとめております。

 

 

 

【フィリピンという国について】

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日本にとっては隣国であるフィリピン。貧困国で治安の悪いという印象が、一般の人が持つ意見ではないでしょうか。最近では、ロドリゴ・ドゥテルテ新大統領が就任し、アメリカに対しての反米的な過激な発言や、麻薬撲滅のために行った、麻薬常習犯や組織に対しての超法規的な殺人が世界でも注目を集めています。多くの日本人が持つフィリピンのイメージをまとめるなら「貧しくて危ない国」

 

こういったマスメディアの報道する誇大で表面的なニュースが多くの人の、マイナスの良くないフィリピンのイメージを作り上げていることは言うまでもありません。では、実際のフィリピンはどのような国なのでしょうか。これは、ほんの一部地域を除いて、ほとんど当てはまることのないイメージです。都市部に関して言えば、新政権が積極的に改善に取り組んだ結果、治安は安定しており、見渡す限りの高層ビルに、多くの人が行き来しています。国内に多く点在するショッピングモールには、購買意欲の高い幅広い年齢層の人々が、日本に住む人々と同じものを消費し経済を回しています。近年、GDPの成長率も6~7%を維持しており、人口も1億人を突破しています。そのほとんどは、10代~20代と、日本の逆に綺麗な人口ピラミッドを形成しています。

 

もちろん、貧富の差は未だ存在しており、危険地域もありますので「日本と同じ感覚」で歩くことはできませんが、海外渡航をする際の当然の注意事項さえ守れば、危険も少ないと断言ができます。根本的な問題改革に、国を挙げて取り組んでおります。一言で言えば「発展と明るい未来が約束された国」と言えるでしょう。

 

では、ここからはこの点を交えて、実際に目にしたフィリピンでの「現在」とそこから見る「未来」や、ビジネスチャンスなどを予想していきたいと思います。

 

【これまでの政治】

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フィリピン人の、これまでの政権に対して国民が持つ政治に対してのイメージは「信用できない」の一言です。フィリピン人と政治の話をする際に、必ずと言って良いほど耳にする山下財宝という話がありまして、過去の政治を語るにこれほど分かりやすい話はありません。

 

山下財宝とは、旧日本軍の山下大将が大戦中に隠し埋蔵した金銀財宝と言われています。敗戦後、埋蔵した本人や関係者は戦犯として処刑され、長らくその所在が不明だった財宝の事です。半ば都市伝説的な話で、この呼称は米国人作家スターリング・シーグレーブの太平洋戦争を題材にした著者により広く広まりました。実際に日本軍が引き上げた際に残していった財産や、日本が在比華僑系財閥に物資調達の協力を得るために発行した「マル福金貨」というものなどが多く見つかることもあり、現実味を帯びた話になりました。2万5千枚程あった金貨は、過去に一枚=20万程の価値が付いていたこともあります。

 

話は少し逸れましたが、マル福通貨を含めたこれらの財宝は過去のマルコス政権時のマルコス元大統領に回収され、分配されたり政治運用されることなく、全て元大統領の懐に入り私利私欲に使用されたと言われています。これは、当時の政治スキャンダルや、大統領の夫人の発言。そして、当時の混沌とした政治状況と国民の財政状況などと重なり、山下財宝を独り占めした独裁者という印象に辿り着き、国民の政治不信を確固たるものにしたといいます。

 

 実際に、政権のトップが私利私欲のために、このような行為を行い、海外からの支援金や投資、非営利の国際機関の寄付なども懐に入っていき、国民に対して行われる運用はほぼゼロに近い状態だったと多くのフィリピン人が言います。この様な、ずさんな体制は国家権力を持った公的組織の汚職や腐敗に繋がりました。例えば警察などの機関は、賄賂などを要求する事が最近までありました。そういった腐敗が、麻薬などを始めとした犯罪を取り締まる事が無くなり治安悪化に繋がりました。

 

もちろん、これらの例は過去の10年〜20年前の話です。しかしその名残や、体制はデュテルテ政権になるまで密かに残っていた事も事実です。この様な事実が「国民の政治不信」を生みました。過去の政権には、多くの国民は失望し期待していなかったのです。

 

【新政権の政治と現状】

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さて、話を現代に戻します。2016年、フィリピン南部の都市・ダバオ市の市長であったロドリゴ・ドゥテルテ氏がフィリピンの大統領として就任した事は記憶に新しいことでしょう。しかし、彼を有名にしたのは就任後の政策です。麻薬撲滅とそれに関わる全ての組織や個人を国家を挙げて殺害して行くと公言しており、就任と共に多くの麻薬密売人や組織、それに関わる人が超法規的に殺害されました。実際にフィリピンに滞在中も、毎日の様に殺害された密売人の数が報道されていました。2017年現在では、その数は6000人超となっています。

 

この発言や一連の出来事は、世界中の注目を浴びました。そして、アメリカのオバマ大統領がこの行為に対して批判の声明を出し、両国の関係が冷え込みました。2017年に入ってからも麻薬組織との戦いの継続を宣言しており、厳戒令も辞さないという発言も話題になりました。

 

こういった報道がされる中で、前述したアメリカ大統領の批判を始め、個人的に人権を口にしてこの行為を批判する声は当初より珍しくありません。現状は、この徹底した麻薬組織や犯罪者に対する厳しい取り締まりが大きな政策として実施されています。しかし、この政策によってフィリピンの治安は著しく回復しており、強引だという意見も多くありますが、反対する国民はほとんどいないというのが現状です。

 

筆者も、過去のフィリピンを知っており、やはりこの様に、国家権力を強引に行使するやり方でないと改善できない程の根深い闇が改善されないという、賛成の立場です。

 

では、この政策と現状から一体、デュテルテ大統領はどの様な狙いを持っているのかを考察してみましょう。

 

【ドゥテルテ大統領の4つの狙い】

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 まず、第一に彼が目指すのは、言わずと知れた麻薬撲滅。すなわち大規模な治安の回復と安定です。麻薬による弊害というのは、人体に及ぼす個人的なレベルに留まりません。例えば、麻薬中毒者は、比較的貧困層に多いのですが、お金のない貧困層の中毒者は、お金のある中間層や富裕層を狙って、強盗や殺害といった事件を起こします。フィリピンでは銃器の所持が法律で認められています。これらの火器を使った犯罪が起こりやすくなります。フィリピンでは、富裕層が住む高い塀に有刺鉄線を引いた家をよく見かける事ができます。その他、重火器を持ったガードマンなども、銀行前に駐在しており、これだけでも日本との違いを理解できます。これらの大規模に蔓延した犯罪の温床と原因を改善しようと思うなら当然、国家的な権力を行使する必要があります。これは、国民を始め、諸外国に安全と安心を国家レベルで保障する事で、お金を集めやすくするための形を作ることがデュテルテ大統領の本当の狙いです。

 

2つ目に、安全が約束された下地が完成した後に、海外からの投資を募ります。つまり、この下地を使える様にするためのお金を集めるわけです。先日、日本はフィリピンに対してインフラ整備などのために1兆円程の融資を提供しました。滞在していた1ヶ月、実際にマニラ都市部では、MRT(市内の電車)の駅整備、道路、信号整備などの、国民の生活に必要なインフラの整備が既に行われていました。これに伴い、電車の本数の増加や、より駅を利用しやすくなる技術の導入。車の渋滞の改善、交通に関する法の整備も進むと予想されます。

 

さらに、大規模なモール、住宅地やマンションの工事が都市部の各地で行われていたことも着目すべき点です。

 

公共機関による移動がスムーズに行われることで、国民の経済活動のスピードが速まる他、我々の様な海外の渡航者も利用しやすくなることで、フィリピンでの行動範囲が広くなります。さらに、居住地域の増加=人口の増加と密集。ここにお金がさらに集まり易くなります。日本で言えば、東京のように「ヒト・モノ・カネ」が集まる先進国の大都市の様な状態に発展させるのがドゥテルテ大統領のもう2つ目の狙いです。ここまでは第二のフェーズ。安全で安心できる、人間が生活する最低限の環境を保障できるようにするのです。

 

3つ目と4つ目は、同時に行われるか前後します。次に行われるのは海外からの企業誘致、国内企業への国家的な支援。もしくは、学校教育の法律の整備と強化です。まず、企業誘致と国内企業への支援ですが、国内の雇用拡大と確保生産力の強化。これにより国家の経済力を上げるのが狙いの1つ。今まで多く見られた既得権益状態にあったビジネスなどは競争に晒され、淘汰されるものも出てくるでしょう。同時に、この自由な競争が、フィリピンの既得権益によって生まれた見えない格差を無くすという効果を狙っているとも考えられます。滞在中、日本でも名の知れた企業から、全く見たことのない企業がフィリピンでのビジネスの展開をしており、成功している例もあります。このタイミングで海外に展開をすれば、多くの利益を稼ぎ出し、同時にフィリピンにも貢献できるでしょう。

 

多くは、フィリピンの企業とパートナー提携しており、雇用するのもされるのもフィリピン人です。つまり、相互で恩恵を受けている状態です。後述しますが、現在のトレンドなどに乗っている企業もたくさんあります。

 

教育に関してですが、まず日本でいう義務教育の様な制度が国家を挙げて整備されて実施されるでしょう。無償で通える学校の増加。大学に対しても一部ですが、無償で通える学校が増えると予想しています。これにより、識字率、就職率が上がります。フィリピンは学歴社会ですが、未だに格差は大きくあります。これらの改善を目指す狙いです。さらに、教育面でも海外より技師を呼んで、技術系統の教育を受けれる制度を導入するのではないでしょうか。フィリピンのGDP数値の10%ほどは海外で働くフィリピン人からの外貨輸入と、それによる購買活動で支えられています。今後は、海外でも技術職として働ける人材を育成するための教育も施されると予想されます。ここでは、教育者。特に技術、専門職の人のニーズが上がるでしょう。

 

 

 

 【フィリピンの今後のトレンド】

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 では、以上のことと、現状を踏まえて今後のフィリピンでのトレンドを予想していきたいと思います。まず、フィリピンは現在フェーズ2の状態。先ほどの話で言うならば、海外からお金を集めてフィリピン国内を整理している段階だと言えます。

 

そして、このタイミングでのトレンドは不動産と飲食業。そして、IT技術などを用いたサービスです。まず、不動産と飲食業2つ。参入するのにそれほど障壁も無く比較的簡単です。理由は、今現在の都市部で起こっている建設ラッシュ、人口増加とフィリピンの国民性。

 

まず不動産ですが、フィリピンのマニラ首都圏内の1つパシッグシティの中心地では、確認できるだけで、5つ程のタワーマンションが建設を開始しています。主に中流層から富裕層の居住地域のマンションで、実は日本の不動産業界や投資家の一部はこのラッシュにすでに着目しており、水面下で投資、部屋の買い占めに動いているところもあります。日本だけでなく、中国の富裕層も投資先として動いています。今後2、3年の間に、さらに都市部に人口が集中する時代が到来します。まだ建設中の物件がほとんどですが、既に販売は開始されており、ショッピングモールなどでも、不動産販売が目立ちます。外国から、移住する人口も同時に増えるので、これらを抑えて貸しに出すのが良いでしょう。

 

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次に飲食業ですが、実はこの2、3年で多くの日経企業がフィリピンに進出をしています。近年、日本食ブームがフィリピンで起こっており、例えば日本でも名の知れた企業だと天丼を取り扱う「てんや」や、トンカツを売りにしている「まい泉」といった日本人からすると意外な物が現地では受けています。さらに最近は、ラーメンなど、日本でも人気の高いものも多く進出しており、中には「一風堂」など、世界展開を目指す企業も見られます。フィリピン人は、非常に食べるのが好きな国民です。カリカリした食感がこちらではヒットしやすいです。価格の高いものでも、興味を引くものなら試しに食べに来るのがフィリピン人です。

 

参入の障壁は、資金面と法律面のみですが、法律面に関して言えば、現地の人や法人と提携することで容易にクリアできます。資金面ですが、5畳ほどのスペースでも可能な飲食ビジネスを考えれば勝機があります。資金面も、コストを抑えながらリスクも抑える事ができるので良いでしょう。ここから、成長を狙うのも良いでしょう。長くフィリピンで活動する企業などは、既にフランチャイズ化を始めており、今後規模が大きくなります。しかし、フランチャイズの様な大規模展開などをしなくても、1つの場所で1店舗をしっかりと構えて、現地の人を固定客として掴んでいる企業もあります。飲食業は、外資系も多くの今後も参入が多くなる可能性が十分あります。このタイミングを逃すと、競争率が高くなり、参入は厳しいでしょう。

 

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最後が、IT技術、最新の技術などをを用いたサービスです。現在のフィリピンでは、昔ほど不便さが無いとはいえ、やはりまだまだ不便なことは山積みです。例えば、マニラのタクシーの現状は、メーターの付いたタクシーが少なく、技術が発展した今の時代のフィリピンでも、未だにドライバーの言い値であったり、交渉が必要です。旅慣れた人や、外国語に堪能な人にとっては容易な事でも、慣れない人にはとても不便です。この問題を解決したのが、アメリカの配車アプリUberです。値段も事前にわかる上に、スマホのボタン1つで車を呼び寄せれます。タクシーを停めて、面倒な交渉の必要がなくなりました。フィリピンでの需要は高く、国民ですら使用しています。この様に、問題を解決できる高い技術を要していたり、または、それら技術を活かせるアイディアがあれば、ある種の既得権益の様な状態を創り出す事ができます。Uberに関しては、フィリピン人の自立を助けているので、ウィンウィンです。

 

 

 【記事①のまとめ】 

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記事①では、「今後フィリピンがどうなっていき、何をしたいのかに焦点を当てて、記事としてまとめました。今、世間に出ている情報や、現地での取材での情報と、現地での現状を踏まえると、フィリピンはまだまだ発展途上ではあります。しかし、大規模なインフラ整備と融資を募っている事実。そして、ドゥテルテ大統領が急速に推し進める治安改善。さらに、急速に進む、マンションなどの建設などのラッシュから、都市部の人口増加消費増大が容易に予測できます。この流れは、3年ほど続きます。

 

その後、安定した都市部では、前述した本格的な企業誘致や、教育に力を注ぐ時代に入るでしょう。。

 

ドゥテルテ大統領は、真剣に国家の未来を考え行動しています。過激な発言や政策の真意は、次の時代を生きるフィリピン人の事を考えています。この様な背景をしっかりと考えた上で、過激に成長してしまった、搾取的で主従的なグローバリズムとは違う、現地国と国民に協力的なグローバリズムを意識した行動を取れる、企業や組織、個人が現れること。何よりフィリピン人自身が、明るい未来を築くために行動すれば、かつての日本の様な成長をする国となるでしょう。

 

さて次回は、フィリピンと各国の関係。そしてアジアがどの様に動くかを予想立てていきたいと思います。